こんにちは、コロビトのSEKINEです。
3DプリンターでPLA素材を造形する際、上面の仕上がりが気になることはありませんか。
例えば、表面が平らなパーツや、手で触れる機会の多いパーツでは、上面の滑らかさによって見た目や質感の印象が変わります。
今回は、Bambu Studioのアイロン機能(アイロニング)について紹介します。
■ アイロン(Ironing)とは
アイロン機能とは、3Dプリントした造形物の主に上面にできる積層痕をならし、見た目や仕上がりを向上させる機能です。
しかし、アイロン機能を使用しても、設定によっては表面に隙間や凹凸が残ったり、触ったときにざらつきを感じたりする場合があります。
また、一度きれいに出力できた場合でも、使用するフィラメントによって仕上がりが変わることがあります。
そこで重要になるのが、アイロン時の「移動速度」と「流量比率」です。
今回は、この2つの設定を中心に、仕上がりの違いを検証していきます。
使用する3Dプリンターは、当社に導入された「Bambu Lab P2S」です。
当社のP2SにはBambu Lab AMS 2 Proが装着されており、多色印刷にも対応しています。
●Bambu Lab P2S

検証にはHE3D氏がMakerWorldで公開しているアイロン設定テスト用モデルを使用しました。
1. アイロンの最適値を調べる
アイロン時の移動速度と流量比率を調べる場合、通常は設定を変えながら複数回プリントして比較する必要があります。
今回使用するテストモデルでは、1枚のプレート上で複数の設定を比較できるため、どの設定が最も滑らかに仕上がるかを確認しやすくなっています。
1-1. テストモデルをダウンロードする
まず、MakerWorldにあるアイロン設定テスト用モデルをダウンロードします。

このモデルは、縦軸がアイロン時の移動速度、横軸がアイロン時の流量比率になっています。
縦軸の数値は、アイロン処理中にノズルが移動する速度を表しています。
単位はmm/sで、数値が大きいほどノズルの移動速度が速くなります。
横軸の数値は、アイロン処理中に押し出すフィラメントの流量比率を表しています。
数値が大きいほど、アイロン時に押し出されるフィラメント量が多くなります。
このテストモデルを使用することで、移動速度と流量比率の組み合わせごとの表面の違いを確認できます。
1-2. Bambu Studioで設定を確認する
ダウンロードしたモデルをBambu Studioで開きます。
このモデルでは、それぞれの小さな四角形に異なるアイロン設定が割り当てられています。
左側のオブジェクト一覧から各パーツを選択すると、アイロン時の移動速度や流量比率を確認できます。
今回のモデルでは、移動速度が10〜30mm/s、流量比率が10〜30%の範囲で設定されており、組み合わせごとの仕上がりを比較できるようになっています。
●Bambu Studio上の設定画面

1-3. スライス設定
こちらのモデルは既に設定が完了しているため、検証をしたいフィラメントを適用するだけで準備が完了します。
今回使用したフィラメントは以下の3種類です。
●Bambu Lab PLA Basic
●OVERTURE Silk PLA
●TINMORRY RAPID Matte PLA
造形時間は、1枚あたり約1時間12分でした。
2. 出力結果
2-1. Bambu Lab PLA Basicで出力した結果

Bambu Lab PLA Basicは表面の仕上がりの差が比較的わかりやすい結果になりました。
左側の流量比率が低い部分では、フィラメントの押し出し量が足りず、表面に線状の隙間が残っていました。
一方、右側の流量比率が高い部分では、フィラメントが多く押し出され、表面に小さな塊やざらつきが見られました。
この結果から、流量比率が低すぎても高すぎても表面が荒れやすく、中央付近の設定の方が比較的なめらかに仕上がることがわかります。
2-2. OVERTURE Silk PLAで出力した結果

OVERTURE Silk PLAは、全体的に見た目の大きな乱れは少ない結果となりました。ただし、流量比率25%・30%の列では、表面に小さな塊やざらつきが見られました。また、実際に触ってみると、他の列でも手に少し引っかかるような感触がありました。
今回の結果では、移動速度15mm/s、流量比率15%の設定が比較的つるつるとした仕上がりになりました。
一方で、アイロン処理がかかっていない外枠部分と比較すると、アイロン処理を行った部分ではSilk PLA特有の光沢感がやや失われているように見えました。
そのため、Silk PLAを使用する場合は、表面の滑らかさだけでなく、素材特有の光沢感が変化する点にも注意が必要です。
2-3. TINMORRY RAPID Matte PLA で出力した結果

TINMORRY RAPID Matte PLAは、まず流量比率10%の列で表面の隙間が目立つ結果となりました。
一方、流量比率30%の列では、他の2種類のフィラメントで見られたような小さな塊はあまり確認できませんでした。
ただし、触ってみるとつるつるとした感触というより、材料がやや多く乗っているような感触がありました。
今回の結果では、移動速度20mm/s、流量比率20%の設定が、見た目と触り心地の両方で比較的良い仕上がりになりました。
3. まとめ
今回は、Bambu Studioのアイロン機能について、移動速度と流量比率の違いによる仕上がりを比較しました。
検証の結果、どのフィラメントでも流量比率が低い設定では、表面に隙間が残りやすい傾向がありました。
一方で、流量比率が高すぎると、フィラメントの種類によっては小さな塊やざらつきが出る場合があります。
今回の結果では、全体的に移動速度15〜20mm/s、流量比率15〜20%付近の設定が、見た目と触り心地の両方で比較的良い仕上がりになりました。
ただし、同じ設定でもフィラメントの種類や色、光沢感によって仕上がりは変わります。
特にシルク系 PLAのように光沢感のある素材では、アイロン処理によって素材特有の見え方が変化する場合があるため注意が必要です。
また、表面をきれいに仕上げるためには、アイロン設定だけでなく、プリンター本体の状態も重要です。
ノズルやベッドの状態、フィラメントの送り出しにずれがあると、アイロン機能を使用しても十分な効果が出ない場合があります。
安定した仕上がりを得るためにも、定期的なキャリブレーションを忘れずに行うことが大切です。
アイロン機能を使用すると造形時間は長くなりますが、上面の積層痕を目立ちにくくし、表面を整えるには便利な機能ですので、見た目や触り心地を重視したいパーツでは、使用するフィラメントに合わせて設定を調整しながら活用すると良さそうです。
このTipsが皆さんの参考になれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。












